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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)11086号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕既往の休業損害および後遺症による逸失利益

前掲証拠によると、原告は本件事故発生当時三六才の健康な男子で、訴外東武鉄道株式会社西新井電車区に電気掛としと勤務し、月額平均手取り四万四〇一一円程度の絡与と少くとも年二回六万二六二〇円宛程度の賞与を得ていたものでありところ、本件受傷により昭和四〇年九月二日から同年一一月一五日まで七五日間にわたつて欠勤せざるを得ず、この間就労による収入を全く失つたのみならず、その後昭和四一年二月末頃まで、前記通院加療のため、勤務に制限をうけ、頭痛と骨折治癒の余後とのため、残業や夜間勤務ができない等就労上の制約を蒙つたため、成績給与額が減少し、また昭和四一年度の年次有給休暇も減らされたことが認められる。これらの就労不能もしくは勤務制限、就労制約等により原告が失つた利益につき、原告は合計二二万円に達するとしと請求するも、前記欠勤期間七五日間については、その具体的数額を算定することができるが、勤務制限、就労制約等による分は、消極的財産上の損害として確定的に数額を算定するにたりる資料がないので、この事実は慰謝料算定上の事情として考慮するほかはない。欠勤期間中の就労による得べかりし利益額は、概ね一三万四二五〇円と算定する。(成績給与体系による受給者が七五日の間引き続き欠勤した場合の逸失利益算定の基礎事実とすべきであるから、前記月額平均手取り額の年間総計と年間賞与との合計額を三六五日で除した商一七九〇円の七五倍とする。なお前記一三万四二五〇円は、原告が既往の休業損害として請求する額を超えるが、原告は、後遺症による逸失利益をも請求しており、弁論の全趣旨と後遺症の性質からすると後者は骨折等の傷害が一応治癒した時点、すなわち都立駒込病院を退院した昭和四〇年一〇月一四日以降残存する傷害による逸失利益を請求するものと解され、両請求は別個独立のものではないと解されるこれら合算額の範囲内にとどまる右額の認容が詐されることはいうまでもない。なお<証拠>によれば、原告は昭和四〇年九月ないし一一月分としてその勤務先から合計一一万三七五〇円の金銭の交付をうけていることが認められるが、<証拠>によると、右は本件事故の加害者から逸失利益の賠償を得た場合には、勤務先に返還しなければならないものであることが認められるから、結局使用者が労働者の就労復帰を期待して、労務の提供をうけないのに、その生計維持資金として、一時交付したものにすぎないものと解すべく、これによって原告の就労不能期間中の逸失利益が填補されたものとは解されず、従つてまた原告がこの請求権を失つたものと解することも相当ではない。(薦田茂正)

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